
情報セキュリティ対策って、具体的に何をすればいいの?
パスワードの管理、ウイルス対策、フィッシング詐欺への注意など、どこから手をつければいいかわからない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、情報セキュリティの基礎知識から、個人でも今すぐできる具体的な対策7選、企業が取り組む対策まで、わかりやすく解説します。
ITエンジニアを目指す方にとって、情報セキュリティの基礎知識は現場で最初から必要な素養でもあるので、ぜひ最後までご確認ください。
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情報セキュリティ対策とは、個人や企業が保有するデータや情報システムを、さまざまな脅威から守るための取り組みです。
サイバー攻撃の手口が巧妙になっている現代では、誰にとっても無関係ではない重要なテーマです。
情報セキュリティとは、情報を適切に保護し、許可された人だけが使える状態を維持することです。
国際規格では、情報セキュリティを支える要素として次の3つが定義されています。
この3つは英語の頭文字から『CIA』と呼ばれ、情報セキュリティ対策の基本的な考え方として世界中で使われています。
機密性が失われれば情報漏洩が起き、完全性が損なわれれば改ざん被害が発生し、可用性が崩れればシステムが停止します。
3つのバランスを保つことが、情報セキュリティ対策の本質です。
インターネットやスマートフォンが普及し、個人情報や機密情報をデジタルで管理することが当たり前になった現代では、情報セキュリティのリスクが誰にでも存在します。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が毎年発表する『情報セキュリティ10大脅威』では、フィッシング詐欺やランサムウェア、不正アクセスなどの被害が年々増加・巧妙化していることが示されています。
個人が受ける被害としては、銀行口座の不正利用・個人情報の流出・SNSアカウントの乗っ取りなど、日常生活に直接影響するケースが多発しています。
企業においては、情報漏洩が発生すれば社会的信用の失墜や損害賠償に発展するリスクもあります。
対策を講じるのは『何かあってから』ではなく、被害が起きる前に取り組むことが重要です。

情報セキュリティ対策を理解するには、まずどのような脅威があるかを知ることが重要です。
代表的な脅威を4つ解説します。
マルウェアとは、コンピュータやスマートフォンに害を与える悪意あるソフトウェアの総称です。
コンピュータウイルスもマルウェアの一種で、感染したデバイスのデータを破壊したり、外部に情報を送信したりします。
マルウェアに感染する主な経路は、不審なメールの添付ファイル・怪しいウェブサイトへのアクセス・信頼性の低いソフトウェアのダウンロードなどです。
感染すると気づかないまま個人情報が盗まれたり、デバイスが遠隔操作されたりするケースもあります。
ウイルス対策ソフトを導入し常に最新の状態に保つことが基本的な防衛手段です。
怪しいリンクやファイルは開かないという意識も、マルウェア対策として非常に有効です。
フィッシング詐欺とは、銀行・通販サイト・SNSなど実在する企業や機関を装った偽メールやSMSを送りつけ、偽サイトに誘導してIDやパスワード・クレジットカード情報を盗み取る手口です。
近年は偽メールのデザインや文章が本物と見分けがつかないほど精巧になっており、『うっかりクリックしてしまった』という被害が急増しています。
見分けるポイントは、送信元のメールアドレスのドメインが公式と異なっていないか、URLがhttpsで始まっているか、日本語が不自然でないかなどです。
金融機関からの連絡は公式アプリやカスタマーセンターで確認する習慣も、フィッシング詐欺の被害を防ぐうえで効果的です。
不審なリンクはクリックせず、公式サイトはブラウザのブックマークから直接アクセスする習慣をつけることが大切です。
ランサムウェアとは、感染したデバイスのファイルやシステムを暗号化し、元に戻すことと引き換えに身代金(ransom)を要求するマルウェアです。
国内でも病院・自治体・大手企業など規模を問わず被害が急増しており、対岸の火事ではなくなっています。
一度感染するとデータの復旧が非常に困難になるケースが多く、身代金を支払っても必ずしもデータが戻るとは限りません。
感染経路はメールの添付ファイルや不審なウェブサイトのほか、VPNの脆弱性を突いた攻撃も増えています。
定期的なバックアップが最も有効な対策であり、ネットワークに接続していない外付けHDDやクラウドに保存しておくことで、感染時の被害を最小限に抑えられます。
不正アクセスとは、権限を持たない第三者がシステムやアカウントに侵入することです。
パスワードの使い回しや推測されやすいパスワードを設定している場合、アカウントを乗っ取られるリスクが高まります。
不正アクセスの結果として発生するのが情報漏洩で、個人情報・機密情報・クレジットカード情報が外部に流出するケースが増えています。
情報漏洩は本人だけでなく、関係する取引先や顧客にも被害が及ぶことがあるため、企業にとっては特に深刻な問題です。
対策としては、パスワードを複雑なものにして使い回しをしないこと、二段階認証を設定することが有効です。
不審なログイン通知が届いたときは、すぐにパスワードを変更しアクセス履歴を確認することをおすすめします。

ここでは、特別な知識がなくても今すぐ取り組める情報セキュリティ対策を7つ紹介します。
それぞれの対策について、具体的な方法をわかりやすく解説します。
パスワードの管理はすべての情報セキュリティ対策の基本です。
複数のサービスで同じパスワードを使い回すと、一箇所で情報が漏洩した際に芋づる式で他のアカウントも乗っ取られるリスクがあります。
理想的なパスワードは、英数字・記号を組み合わせた12文字以上のもので、サービスごとに異なるものを設定します。
すべてのパスワードを記憶するのは現実的でないため、パスワード管理ツール(1Password・Bitwarden等)の活用がおすすめです。
管理ツールを使えば、複雑なパスワードを自動生成・保存・自動入力してくれるため、利便性とセキュリティを両立できます。
まず今すぐできる行動として、使い回しているパスワードをサービスごとに別々のものへ変更することから始めてみてください。
OSやアプリケーションのアップデートを後回しにしている方は多いですが、これは情報セキュリティ上のリスクにつながります。
アップデートには新機能の追加だけでなく、発見されたセキュリティの脆弱性を修正するパッチが含まれており、適用しないとその脆弱性を攻撃者に悪用される可能性があります。
特にOS・ブラウザ・ウイルス対策ソフト・よく使うアプリケーションは優先的にアップデートすることが重要です。
『自動更新』の設定をオンにしておくことで、アップデートの確認や手動操作の手間を省くことができます。
なお、アップデートを促す偽の通知メッセージでマルウェアに誘導するケースもあるため、公式の通知以外からのリンクは開かないよう注意してください。
スマートフォンも同様に、iOSやAndroidのバージョンを常に最新に保つことが基本的な対策です。
ウイルス対策ソフト(セキュリティソフト)は、マルウェアや不正プログラムの感染を検知・駆除するためのツールです。
パソコンを使うなら、ウイルス対策ソフトの導入は最低限の情報セキュリティ対策として欠かせません。
代表的なソフトにはノートン・マカフィー・ESETのほか、Windowsに標準搭載のMicrosoft Defenderがあります。
重要なのはインストールするだけでなく、定義ファイルを常に最新の状態に保つことです。
古い定義ファイルのままでは新しく登場したウイルスに対応できず、感染リスクが高まります。
無料版でも基本的な機能を備えているものがありますが、より包括的な保護のためには有料版の利用も検討してみてください。
二段階認証(2ファクター認証)とは、パスワードに加えてスマートフォンへの確認コード送信や認証アプリの承認など、もう一つの認証ステップを追加するセキュリティ機能です。
パスワードが第三者に漏洩した場合でも、二段階認証が設定されていれば不正ログインを防ぐことができます。
Google・Apple ID・銀行口座・SNSなど、重要度の高いサービスから優先的に設定することをおすすめします。
認証アプリはGoogle AuthenticatorやAuthyなどが広く使われており、SMS認証よりも安全性が高いとされています。
設定方法は各サービスの設定画面から『セキュリティ』または『ログイン設定』の項目で確認できます。
二段階認証は手間が増えるように感じますが、不正アクセスを防ぐ効果が非常に高い対策です。
フィッシング詐欺は年々手口が巧妙になっており、本物と見分けがつかない偽メールやSMS が届くケースが増えています。
不審なメールやSMSに記載されたURLは絶対にクリックしないというルールを習慣にすることが最も効果的な対策です。
メールやSMSからではなく、ブラウザのブックマークや公式アプリから直接ログインする習慣をつけましょう。
送信元のメールアドレスのドメイン・URLのスペル・日本語の不自然さなど、複数の観点からメッセージの信頼性を確認することが重要です。
『至急』『アカウントが停止されます』などの緊急性を煽る文言は、フィッシング詐欺の典型的なサインです。
少しでも不審に感じた場合は、公式のカスタマーセンターに直接問い合わせて確認しましょう。
万が一マルウェアに感染したり、ランサムウェアの被害を受けたりした場合でも、バックアップがあればデータを復元することができます。
バックアップは『3-2-1ルール』を基本にすると安全性が高まります。
3-2-1ルールとは、データのコピーを3つ持ち、2種類の異なる媒体に保存し、1つはオフサイト(クラウドや別の場所)に保管するという考え方です。
個人であれば、重要なファイルをクラウドストレージ(Google Drive・OneDrive等)と外付けHDDの両方に保存しておくだけでも大きな効果があります。
クラウドに保存したデータもランサムウェアによって暗号化されることがあるため、ネットワークに接続していない外付けHDDにも保存しておくと安心です。
バックアップの頻度はデータの更新頻度に合わせて設定し、定期的に復元できるかどうかを確認することも忘れずに行いましょう。
アクセス権限の管理とは、ファイルやシステムにアクセスできる人・アプリを必要最低限に限定することです。
個人の場合は、スマートフォンやパソコンのロック設定・アプリへのアクセス許可の見直しが基本になります。
不要なアプリに位置情報・カメラ・マイクなどのアクセスを許可しないことで、情報漏洩のリスクを大幅に下げられます。
設定画面から各アプリのアクセス権限を定期的に確認し、使っていないアプリや必要のない権限は削除・無効化しましょう。
共有パソコンを使う場合はユーザーアカウントを分け、管理者権限での操作は必要な場合のみに限定することも有効な対策です。
このような設定の見直しを月に一度程度行う習慣をつけるだけで、情報セキュリティの水準を継続的に保つことができます。
情報セキュリティの知識は、エンジニアとして働く上での土台となるスキルです。
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情報セキュリティ対策は個人だけでなく、企業においても組織全体で取り組む必要があります。
企業が実施する情報セキュリティ対策は、大きく3種類に分類されます。
技術的対策とは、システムやソフトウェアを使って情報を守る手段です。
ファイアウォールによる不正通信の遮断・VPNによる通信の暗号化・不正アクセスを検知するIDS/IPS(侵入検知・防止システム)の導入などが代表的な例です。
企業の情報システム部門やセキュリティエンジニアが中心となって設計・運用する領域であり、最も専門性が求められる対策です。
近年ではクラウド環境へのセキュリティ対策も重要性が増しており、クラウドサービス特有の設定ミスによる情報漏洩事例も増えています。
ゼロトラストセキュリティ(すべてのアクセスを信頼しない前提で設計するモデル)など、新しいアーキテクチャへの移行も進んでいます。
技術的対策はエンジニアが直接携わる領域であり、セキュリティの専門スキルを身につけることでキャリアの幅が大きく広がります。
物理的対策とは、情報資産を物理的な場所や手段から守るための対策です。
入退室管理システムによるサーバー室へのアクセス制限・セキュリティカメラの設置・書類や記録媒体の施錠保管などが代表的な例です。
どれだけ優れたシステムを導入しても、物理的な侵入や内部からの不正持ち出しには技術的対策だけでは限界があります。
USBメモリで機密データを持ち出す行為や、社員証を借りて不正に入室するリスクに対して、物理的な管理が必要です。
在宅勤務が普及した現代では、自宅での作業環境における物理的なセキュリティ(画面の覗き見防止・書類の適切な保管など)も重要性が増しています。
物理的対策は見落とされがちですが、技術的対策・人的対策と組み合わせることで初めて情報セキュリティ対策が完成します。
人的対策とは、組織で働く人間がセキュリティの脅威に対して適切に行動できるよう、教育・ルール整備・意識向上を図る取り組みです。
情報セキュリティ事故の多くは、システムの欠陥よりも人的ミスや不注意が原因となっています。
社員向けのセキュリティ研修・インシデント発生時の対応マニュアル整備・不審メールの報告体制づくりが、人的対策の代表例です。
特に標的型攻撃メール(特定の個人や企業を狙った巧妙なフィッシング)への対応は、技術だけで防ぐことが難しく、個々のリテラシー向上が欠かせません。
定期的な社内訓練やフィッシングメールの模擬訓練を実施することで、実際の脅威に備えた実践的な対策が可能です。
セキュリティ意識の高い組織文化をつくることが、すべての情報セキュリティ対策の土台になります。

情報セキュリティの知識は、セキュリティ専門のエンジニアだけが持てばいいものではありません。
開発・インフラ・運用など、あらゆる現場でエンジニア全員に求められる素養です。
エンジニアとひとくちに言っても、開発・インフラ・運用・テストなど、さまざまな職種があります。
共通して言えるのは、どの職種においても情報セキュリティの知識はエンジニアとしての必須素養になっていることです。
開発エンジニアはコードに脆弱性を作り込まないための知識が必要で、インフラエンジニアはサーバーやネットワークの安全な設計・運用が求められます。
運用保守の現場でも、セキュリティインシデントが発生した際の初動対応やログ監視の判断に、セキュリティの知識が直結します。
近年は開発の初期段階からセキュリティを組み込む『シフトレフト』の考え方が広まっており、エンジニア全員がセキュリティを意識することが当たり前になっています。
情報セキュリティの知識は特定の職種だけが持てばいいものではなく、エンジニアとしてのキャリアの土台となるスキルです。
未経験からITエンジニアを目指す場合、プログラミングの学習が最初のステップになることが多いです。
ただし、現場に入ると早い段階で情報セキュリティの知識が求められる場面が出てきます。
パスワード管理・アクセス権限の理解・不審なメールへの対処といった基本的なセキュリティ意識は、入社初日から必要になる素養です。
この記事で紹介した対策を日常的に実践しておくことは、エンジニアとしてのスタートを安全に切るための準備にもなります。
情報セキュリティの基礎を知っているかどうかは、未経験者が現場に馴染む速さにも影響します。
エンジニアを目指す段階で、技術の勉強と並行してセキュリティの基本を身につけておくことをおすすめします。

情報セキュリティ対策は、サイバー攻撃の脅威が増す現代において、個人・企業を問わず欠かせない取り組みです。
今回紹介した7つの対策は特別な知識がなくてもすぐに始められるものばかりです。まずはパスワードの見直しと二段階認証の設定から取り組んでみてください。
情報セキュリティへの関心は、エンジニアとしてのキャリアにも直結する重要なスキルですので身に着けておいて損はないでしょう。
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